巻藁練習は弓道の練習として重要なものです。
練習の役割的には野球で言うバッティングセンター、ゴルフで言う打ちっぱなしみたいな感じではないでしょうか。
的前練習に匹敵するほどではないけれど、練習としては重要な役割を持っています。
巻藁練習では的前で引くイメージをしながら的前で引く感覚の射をすることが大切です。
力のバランスとか息合いとか含めてです。
なあなあの練習にならないようにすることも大切です。
そもそも巻藁で引くのと的前で引くのと感覚が違ってしまったら、射として違ったものになってしまいます。
実際、巻藁練習は実践である的前練習とはやや異なります。
的前練習には矢飛びや的中という要素がはいってきます。
巻藁練習が全てと言う訳ではなく、的前練習が実践練習としては一番の練習になります。
巻藁の矢が刺さるところに目印を付け、そこに的中すれば良しとするとか、巻藁に矢が真っ直ぐに刺さるのを良しとするとかいう方がいますが、僕は、それが必ずしも全てであるとは思っていません。
目印は、ある程度矢所を揃えるのを目的とするのは良いと思います。
でも実際は、近的または遠的の的に矢が飛んだ結果を見る必要があります。
矢所は近的で言えば28m先のものになるので、巻藁だとその分矢が浮いた位置に刺さります。
最終的な矢飛びや的中に結び付く練習の一過程が巻藁練習だと思います。
矢が真っ直ぐ刺さるところを見るのも一理あります。
巻藁に矢が曲がって刺さるのは、射が悪かったりする時があります。
巻藁に矢が刺さった位置の巻藁の状態が悪かったなんていうこともあります。
実際のところ、的に矢が飛ぶのに、矢が左に右に、交互にしなりを繰り返しながら飛んでいく(アーチェリーパラドックス)のが科学的に検証されています。
したがって、矢が的に飛んでいくまさに途中である巻藁に矢が刺さった位置で射の状態を判断することは、必ずしも正しいとは言い切れないと思っています。
また、手の内が効いていないと的前では矢が的の前にまとまりますし、手の内が効きすぎると的前では矢が的の後ろにまとまりがちになります。
的前練習と同じような程良い手の内の状態が必要になります。
ですから、癖がついてしまわないように的前練習と同じような射ができるように練習をする必要があります。
バッティングセンターに掲げてある、ホームランのボードがありますが、必ずそこに打つだけでホームランになるのかといえば、実際そうとは言い切れない、そういう事だと思います。
あくまで、的前練習前の一過程として巻藁練習があると、そう思っています。
逆に言うと、巻藁練習は的中から離れた練習ができます。
射型を直したりするのに最適な練習だったりするのです。
意識的に的が視線の先に無いので、射に集中できます。
僕は早気を治すのに、よく巻藁で矯正して練習をしました。
巻藁練習を多めにして、修整してから的前練習に戻していきました。
また、身体の正面方向に鏡があれば、自分の射を確認しながら引けるので、さらに良いと思います。
物見の状態、会の状態まで確認するには動画を撮ったりして見るしかありませんが。
巻藁練習は的前練習の予備的なものととらえるのが良いと思います。
本業が忙しかったりして、的前に立てない時などは巻藁練習もしくは素引きをするだけでも、何もしないよりは充分に練習になります。
巻藁練習は、的前に立つか立たないかだけの違いになるので、身体の使い方・弓と矢のバランス・離れの状態など充分な練習になります。
巻藁練習を活かして上達に役立てていただきたいと思います。
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