弓道の体配の流れ
弓道は射場への入退場や弓を引く射法八節の中での作法である「体配」を行なう必要があります。
昇段審査では特にこの体配が重要視されていて、的中だけではなく、射品や射格、周囲との調和が求められます。
逆に言えば、昇段審査で体配をしっかり行っていれば、的中が不足しても昇段できる可能性が増すこともあります。
弓道は武道であるので、やはり結果である的中を求めるだけでなく、作法である体配をしっかり行うことが大切です。
体配では特に跪座、正座、執り弓の姿勢が大切になってきます。
体配を行なうとき
体配は一般弓道の射会や昇段審査のときに行なうことが多いです。
学生も昇段審査は体配で行ないます。
一般的に座射の諸々の作法をひっくるめて体配と言っています。
立射も体配で行なうときもありますが、怪我などで座射ができないときの特例で、座射を行なっている人達の中での立射で行なう体配となります。
基本の姿勢
・立ったときの姿勢
身体を真っ直ぐにして立ちます。あごを上げないようにし、肩に力を入れないようにします。両足を平行になるようにそろえ、男性は3cmくらい両足を開き、女性は両足をつけます。目線は鼻頭を通して4 m先に落とします。重心は土踏まずの少し前に置きます。
・座ったときの姿勢
基本的に正座の姿勢で、視線は2mくらい先に落とします。男性は膝と膝の間を拳1個分ほど離し、女性はつけます。跪座は正座から爪先を立ててひざまづいて座った姿勢になります。左膝をやや床から浮かせた姿勢になります。
・執り弓の姿勢
弓矢を持って身体を真っ直ぐに伸ばします。男性は3cmくらい両足を開き、女性は両足をつけます。両拳を腰骨のあたりにつけて両肘を張って、目線を鼻頭を通して4 m先に落とします。弓の末弭は床から10 cmぐらい上に保って身体の真ん中にくるようにして、矢の線が弓の末弭と交わるようにします。弓の線と矢の線が同じ角度になるようにします。歩くときは末弭を床から10 cmぐらいに保ちます。正座や跪座をするときは末弭は床につきます。
入場の流れ
・入り口の敷居の前で両足を揃えて執り弓の姿勢を保つ。
・左足を敷居をまたいで大きく踏み出す。
・右足は左足のかかとをこするように大きく踏み出し、上座に身体を向ける。
・左足を右足に揃えて揖(ゆう)をする。
・左足から的方向にすすむ。
・3歩半進んだところで右90度に曲がり、上座に進む。
・的の位置を横目で確認しながら左90度に曲がり、本座手前に進む。
・本座の位置に身体の中心が来るように跪座をする。
退場の流れ
・残身のあと、足を閉じる。
・右足を右斜め前に踏み出し、左足も揃えるようにしながら進む。
・上座方向に進む。
・次の組の大前を過ぎたあたりで、退場口方向に向きを変えつつ進む。
・退場口の敷居に弓の末弭がくるあたりで上座に身体を向けて揖をする。
・右足を退場口の方に踏み出し、身体も退場口の方に向けて進み、3歩目に敷居をまたいで退場する。
本座から射位までの流れ
・前の組の落の人が退場に向かうタイミングで揖をし、腰を切って立ち上がる。
・揖をして射位に進み跪座をする(膝頭が射位にくるようにする)。
・腰を切って、開き足をして、上座を正面に跪座をする。
行射の流れ
・一斉に弓を立て、甲矢を番えて待つ。
・大前から腰を切って立ち上がり、行射する(次の人は前の人の胴造りの終わるころ、または前の前の人の弦音で立ち上がる)。
・射終ったら跪座をして、弓を立て、乙矢を番えて待つ。
・前の人の弦音で取懸けをして、行射する。
・射終ったら、順次退場する。
注意点
・大前の人が先導で動作を行ない、後の人は前の人を追い越さないように動作を行なう。
・間合いはその時の都合によっても多少違ったりするので、進行のアナウンスに従って行なう。
・体配や間合いは全日本弓道連盟によって細かい作法とかタイミングとか、多少改訂される場合があるので注意です。
学生の部活動と一般弓道の体配
学生の部活動では大会で良い成績を残せた方が学校にとっても良い影響があるため、大会の方に目が向けられがちです。
体配はあまり目を向けられない傾向にあるので、普段の練習でもあまり体配は行わず、射会や大会での入退場の作法を行なうくらいです。
ですので、昇段審査が難しく感じる原因の一つになっているようです。
実際、部活動の大会では良い成績を残している強豪校でも、昇段している部員は少なかったりする学校も存在します。
一般弓道では普段の練習の中でも体配を取り入れた練習をすることが多いです。
まとめ
弓道をする上で体配は大切な作法になります。
弓道では正しい姿勢や身体の動作をコントロールすることが射技の向上にもつながります。
一般弓道や特に昇段審査で体配をよく見られますので、普段から練習しておくことか大切です。
よく言われているのが、普段の練習の始めや終わりのときに体配を取り入れた練習をします。
普段から体配を馴染ませることで、自然に体配ができるようにしましょう。
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