弓道の矢所が上になるとき
矢所が的の上になるときがあります。
普通に弓を引いて離れをしているのに矢所が的の上にまとまってしまう、そんなときの対処法を書きたいと思います。
原因も一つだけというわけではなく、いくつか考えられますので、原因を見つけて適切に対処していくことが大切です。
離れで切り下げてしまう
離れをするときに下に切り下げるように離れている可能性があります。
弓手の位置がいつものままでも妻手が切り下げていれば、妻手で矢が下に引っ張られる分、矢は上方向に飛びます。
意外と無意識におこなっている可能性があります。
離れの状態を人に見てもらうのが良いでしょう。
自分ではなかなか確認しにくいと思います。
動画で自分の離れを撮って確認するとよく分かります。
周りの人に見てもらうのもいいでしょう。
自分でも、離れで妻手の軌道が切り下げているかもと感じることがあります。
かけをつけたまま、素振りみたいに真っ直ぐ水平な離れをして身体に覚え込ませていくのもいいと思います。
妻手に下に下げる力がかかっている
会を保つとき、妻手が弓の力に負けて肘の角度がつぶれてしまったりなどで、妻手が下に下がる力が働いてしまうときがあります。
矢の妻手側(筈側)が下がると、矢先側(矢尻側)が浮いた感じになってしまうので、矢が的の上に飛んでいく原因になります。
会で矢に余計な力がかからずに矢先側が素直に的方向に水平に向かうように、正しい取りかけをすることも大切です。
ねらいが高い
ねらい自体が高くて、矢が的の上にまとまっている可能性もあります。
矢所がまとまっているのであればきちんと矢が飛ばせていますので、ねらいの高さだけ変えれば大丈夫です。
弓手が弓の力に負けてしまって、矢先側(矢尻側)が浮いた感じになることもあります。
弓手の押しをしっかりして、会でよく張り合うことが大切です。
ねらいの高さを再確認して、自分にとって適切な高さのねらいになるように会を保ちましょう。
引き尺が長くなった
いつもより引き尺が長くなれば、矢飛びが早くなって、矢が上にいくという可能性もあります。
引き尺の長い短いは、会の時に矢が弓から的方向に出ている長さでわかります。
周りの人に見てもらったり、動画に撮ってみるのがいいですが、会の状態で鏡をちらっと見ても引き尺が分かります。
疲れてきたなどで弓の力に負けて引き尺が短くなることはありますが、引き尺が長くなることはあまりないかもしれません。
大きく引こうと考えて引くようにしたのであれば矢所も多少上に上がることもあると思います。
それに合わせてねらいを低くしましょう。
しかし、妻手がたぐる(手首が大きく曲がる)ようになって、結果として大きく引くようになったということもあります。
妻手がたぐることは弓癖になりますので、ねらいよりもたぐることを直さなければいけません。
退く胴になっている
いつもと同じ会や離れをしているつもりでも、矢が上に飛ぶような引き方・離れ方になってしまっているということがあります。
会のとき鏡などで確認すると退く胴(上半身が妻手側に傾いている)になっていることがあります。
そうなると、微妙ながらも上方向に矢を飛ばそうという力が働いてしまいます。
遠的で弓を引いた後に、近的で弓を引こうとすると、身体の感覚でこのような退く胴になってしまいがちです。
遠的は退く胴で行射しますので、近的になったら普通の胴造りに戻さなければいけません。
胴造りでの三重十文字をしっかり確認しながら引くことが大切です。
口割りより下がっている
会で口割りより矢が下がっていれば、矢先が浮いた状態になり、矢が的の上にいってしまいます。
口割りの位置も正しい位置で行なうことが重要です。
わからないとき
ねらいをやや下にして弓を引いてみましょう。
すぐに解決できるなら、射を正すのがいいのですが、直らない、原因も分からないというのであれば、応急的にねらいの高さを変えてみるのもひとつの方法です。
ねらいの高さをしょっちゅう変えるのは、逆に適切なねらいの高さがわからなくなるので良くないのですが。
しばらく練習しているうちに、直ってきたらねらいを元の高さに戻す、ということをすればいいのてす。
そのときに、何が原因で矢が上にいったというのを解決しておきましょう。
次に同じようなことがあったら対処できるので、自分ですぐに修整をかけることができます。
これはけっこう強みになると思います。
まとめ
矢所が上になるとき、周りの人に見てもらったり、自分でも鏡を見たり動画にして見たりして、その原因をつきとめることはとても大切です。
必ずどこかに原因があって結果が生じます。
正しい引き方で繰り返し練習することで、再現性が高くなり上達することにつながります。
コメント