弓道の失とは
失の処理をしっかり行えると、審査でも印象が良く見られます。
初・弐段の審査の場合、的中が思わしくなくても合格させてもらえることがあります。
体配の一部とも言えるくらい大切なことになります。
普段から失の処理ができるようにしておくと、大会や審査で落ち着いて行射することができます。
筈こぼれしたとき
【甲矢のとき】
- 物見を戻しながら弓を引き戻します。
- 弓倒しをして両手を腰にとります。
- 弓の上端(末弭)を床につけて弦を返します。
- 足踏みを閉じます。
- 落ちた矢のそばまで行き、跪座をします。
- 乙矢を弓に差し込むように弓と重ねて弓手に持ち替えます。
- 落ちた甲矢を妻手で右脇に引き寄せ、矢の射付節あたりを握るように拾います。
- 乙矢と一緒に妻手に矢を2本持ち替えて腰にとります。
- 膝歩き(膝退)で射位に戻ります。
- 揖をして恐縮の意を表します。
- 落とした甲矢の矢尻が右膝の脇にくるように的に向けて置きます。
- 進行係が取りにきます。
【乙矢のとき】
- 弓倒しをして両手を腰にとります。
- 弓の上端(末弭)を床につけて弦を返します。
- 足踏みを閉じます。
- 落ちた矢のそばまで行き、跪座をします。
- 落ちた乙矢を妻手で右脇に引き寄せ、矢の射付節あたりを握るように拾って腰にとります。
- 膝歩き(膝退)で射位に戻ります。
- 揖をして恐縮の意を表します。
- 乙矢を持って退場します。
弦切れしたとき
【弦が届くところにあるとき】
- 弓倒しをして足踏みを閉じます。
- 弦が遠くに落ちたときは、弦が落ちているそばまで行って跪座をします。
- 弦が近くに落ちたときは、跪座のまま膝行で移動して、弦が落ちているそばに行きます。
- 弓の上端(末弭)に引っ掛けて弦を引き寄せます。
- 乙矢を弓に差し込むように弓と重ねて弓手に持ち替えます。
- 妻手で切れ弦を拾います。
- 弦の端を弓手の指に挟んで、妻手で輪にするように巻きます。
- 乙矢を妻手に持ちなおします。
- 跪座のまま膝歩き(膝退)で射位に戻ります。
- 揖をして恐縮の意を表します。
- 進行係に弓と切れ弦を渡します。
- 跪座のまま進行係の人が来るのを待ちます。
【弦が届かないところにあるとき】
- 切れ弦が矢道に落ちたときなど、道場の端まで行って跪座をします。
- 握っている弓を使って2回ほど弦を取ろうとするしぐさをします。
- 跪座のまま膝歩き(膝退)で射位に戻ります。
- 揖をして恐縮の意を表します。
- 進行係に弓を渡します。
- 跪座のまま進行係の人が来るのを待ちます。
【乙矢で弦切れしたとき】
- 弓倒しをして足踏みを閉じます。
- 弦が遠くに落ちたときは、弦が落ちているそばまで行って跪座をします。
- 弦が近くに落ちたときは、跪座のまま膝行で移動して、弦が落ちているそばに行きます。
- 弓の上端(末弭)に引っ掛けて弦を引き寄せます。
- 妻手で切れ弦を拾います。
- 弦の端を弓手の指に挟んで、妻手で輪にするように巻きます。
- 跪座のまま膝歩き(膝退)で射位に戻ります。
- 揖をして恐縮の意を表します。
- そのまま退場します。
※切れ弦が明らかに届かないところに落ちたときは、そのまま射位に跪座をして、揖で恐縮の意を表し、進行係に弓を渡します。
弓を落したとき
- 弓倒しをします。
- 弓が遠くに落ちたら、弓のそばまで行って跪座をします。
- 弓が近くに落ちたら、跪座のまま膝行で移動して、弓のそばに行きます。
- 弓を拾って跪座のまま膝歩き(膝退)で射位に戻ります。
- 揖をして恐縮の意を表します。
※弓を落とすのと一緒に、筈こぼれ、弦切れとなったときは、弓・矢・弦の順に処理をします。
まとめ
弓道の失は、忘れたころに意外と起こることです。
そういう不測のこともしっかり処理できると評価が高くなります。
大会では周りへの印象は変わりますが、成績に影響することはありません。
しかし、昇段審査のときなど的中より評価が高くなることもあります。
普段練習する機会はほとんどないと思います。
普段の練習で実際に弦切れしたとき、弓を落としたとき、筈こぼれしたときに、処理するところまで練習しておきましょう。
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