弓道は射法八節の中でも終わりの過程になりますが、残身はとても重要です。
離れで矢を飛ばせば終わりじゃないか、と思ってしまいがちなのですが、残身は射の結果を現わしています。
残身の重要性
〈射法八節〉 足踏み→胴造り→打起し→大三→引き分け→会→離れ→残身
残身はテニスとかゴルフとかで言うフォロースルーと一緒です。
打起しから線でつながっているとすれば、引き分け・会・離れときて残身までつながっています。
行射の終着地点になるということです。
残身を見ればどういう引き方をしているのか、なんとなくわかります。
残身が無いと離れで終わってしまいます。
離れで終わるということは、終わったときの妻手の位置、弓手の位置が定まらないということです。
弓道は矢をまっすぐに飛ばすために、まっすぐに離れをする必要があります。
そこで離れで妻手・弓手がくる方向が決まっていないと、離れにかかる力の方向がバラバラになってしまいます。
よって矢所がバラバラになってしまうということになってしまいます。
したがって、終着地点である正しい残身の形をイメージしておいて、それに向かって行射する。
それによって、正しい射を何度でも再現することができるようになります。
残身で、自分の射を確認すると良いでしょう。
弓手はこの位置、妻手はこの位置にきて、肩は平行であるかとか、胴造りは真っ直ぐできているかとか自分でチェックできます。
妻手の位置が高くなっていれば、もう少し妻手が低くなるように離れをしようとか、そういうチェックの機会にもなる訳です。
残身は3秒くらいになります。
射への気持ちを残して残身をして、次の弓倒しに移ります。
残身が長すぎると、その立ちの組の進行のリズムが変わったりもしますのが、普通に残身をとっていれば大丈夫でしょう。
残身で動きを修正するようなこともしないようにします。
離れて、そのまま動いて止まったものが残身になります。
残身は残心とも言います。
矢が的から外れたとき、悔しそうな表情とかしないようにします。
逆にその一射で勝敗が決まったときなど、喜びをあらわにしないようにします。
テニスとか他のスポーツで、プレーがうまくいかなかったとき、悔しそうな表情をする選手がいたりします。
弓道は武道ですので、最後の残心、本来は射場を退場するまで、感情は表に出しません。
一射一射に集中するということです。
昇段審査においてそのあたりも審査の対象になります。
一射一射気持ちを込めた行射ということが伝われば、矢が的に中らなくても評価が良く、合格したなんていうこともあります。
逆に、残心がしっかり行われなかったということで、合格に値する射ではなかったと評価されることもあります。
残身は射品・射格を現わすものの一つです。
残身をしっかり行うことが堂々とした品のある射を表現することにつながります。
正しい残身をしましょう
真っ直ぐ水平に両腕を伸ばした形が正しい残身の形になります(妻手は腕をやや曲げた形になる)。
(両腕が背中方向に開きすぎる)
勢いがあって良いのですが、意図的に勢いをつけて離れをする感じになっています。
自然に左右に割れるような離れを目指しましょう。
(妻手が上がって止まってしまうとき)
離れで妻手が弓の力に負けている可能性があります。
しっかり肩の線で妻手を止めましょう。
(弓手が上がって止まってしまうとき)
離れで弓手が弓の力に負けている可能性があります。
しっかり弓手を押して、肩の線で弓手が止まるようにしましょう。
残身がやや癖のついた形になっても的中にはあまり関係ない場合もあります。
再現性を高めるためにも、正しい残身の形で行射するようにしましょう。
まとめ
残身は射法八節の中でもとても重要です。
しっかり残身をして一歩上の射を行ないましょう。
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