弓道の円相とは
弓道の円相とは一般的に弓構えにおいて両腕を円形になるように構えた状態のことを言います。
弓道の円相は弓をしっかり引き込むための技術です。
見た目にはあまり意味のないことのようにも映りますが、射にとても影響してきます。
両腕が下がらないように両肘を張り、円相を保つことが大切です。
弓道の円相の意味
円相とはそもそも図形の円を描き上げたもので、終わりのないつながった円として表現されています。
魚住文衛範士は円相を弓構えの時にとどまらず、射の全体に活きていると説いています。
心の円相
仏のような心、寒夜に霜の音を聴く心境、七情を去った無念無想の心境。
目づかいの円相
心と目づかいは一体のものであり、起居進退は常に目は半眼に開き、思無邪の心境によってその場全体を心眼にとらえ、的に対しては少しも瞬きすることなく、雪の目付とか一分三界の目付を以って的と心技体が一体となるように精神を統一すること。
力の円相
打起しから離に至るまでの筋力の使い方の円相で、形の円相と密接な関係があり、筋力の使い方は弓の抵抗力に応じてムリムダのない筋力と左右の均衡、縦線と横線の調和を保ちつつ会に至り、緩まず、力まず彀(やごろ)に至って爆発するような味で離れること。
速度の円相
筋力と速度とは密接な関係があり、打起しと引分けの運行に際し、適度な速度で行うこと。具体的には斜面打起しの場合、弓構えまで5~6秒程度、大三で2秒程度、引き収めるまで6秒程度、会での詰合伸合に5~6秒程度合計18~20秒程度、遠的の場合はこれより幾分早いのがよい。
息合いの円相
速度の円相とも関係し、生理的な呼吸だけではなく、心気の発動によって生理的な呼吸を伴い、力まず出来るだけ静かに長く呼吸を使うことが大切。
射法射技全体の円相
以上の円相など外面的にも内面的にもムリムダのない、気合いがこもって、全体がうまく調和し、隙のない運行をすることである。
射において円相は姿勢良く動じることがなく、目づかいや息合いにも注意して、力まずにリズム感を持ち、全体を調和しながら隙のない運行をするということになります。
尾州竹林流では次のように説明しています。
取懸けや手の内を整える時、両腕は円相で弓懐を構成する。
両腕が下がらないように少し張る心持で(物を抱きかかえるような格好)円相を形成する。
引分けについても正面から見た時、両手の動きが反り橋(半円形)のように移行する。
宇野要三郎範士はこう説明しています。
「取り懸け」によって結びついた左右両腕の形は、丸い輪形でなければならない。
輪は和に通じ、これが和の初めである。
弓道では如何なる場合でも円形(相)を重んずる。
千葉胤次(ちばたねつぐ)範士は次のように説明しています。
「弓構え」はゆるやかな円相を主眼とし、弓矢を持ったという固い感じではなく、自分の体の一部分で体に付随しているものという感じが良い。
弓道の円相での肘の使い方
この肘を張るということは射において重要な役割を持ちます。
弓道の初心者は弓構えで肘を張るように教わります。
肘を張ることで緩まず正しい射を行なうことが出来るのですが、弓構えから肘を張ることを継続しなければいけません。
弓道の円相の効果
取懸けの時に円相をしっかり保つことで大きく引くことにつながります。
常に矢束充分の同じ射をすることが出来て射が安定します。
両肘を張ることで緩まずに張り合った行射をすることが出来ます。
取懸けの時だけではなく残身に至るまで円相を保ち続けないと効果が薄いものになってしまいます。
弓道の円相は大切
円相をつくって両肘を張り両肩を楽にさせることが大切です。
両手首も自然に保って円相をつくります。
これがしっかり出来ていることが、大きな軌道で引き分け、しっかり矢を引き込んだ会になり鋭い割れるような離れにつながります。
弓道の円相とは~まとめ
弓道の円相は一般的に取懸けの時に両腕が円形を保って両肘を張ることを言います。
円相は射において大きく緩まずに引くなど重要な役割を持っています。
取懸けの時だけでなく、目づかいや息合いや射法全体に至るまで終始円相を活かすことが必要です。
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